10月31日(木)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて、第32回東京国際映画祭の公式プログラム「ウーマン・イン・モーション」トークイベントが開催。女優の寺島しのぶさん、映画監督で写真家の蜷川実花さん、アーティストのスプツニ子!さんが登壇し、女性の活躍をテーマに意見交換が繰り広げられた。

[画像のクリックで拡大表示]

「ウーマン・イン・モーション」は、カンヌ国際映画祭の会期中に開かれている公式プログラム。映画界で活動する女性の地位向上を目指し、著名人が意見交換を行うトークショーや、才能ある女性を讃えるアワードを行っている。グッチやボッテガ・ヴェネタなどのブランドを擁する「ケリング」が2015年に発足したもので、回を重ねるごとに注目度が高まっている。

 その5周年を記念し、このたび、第32回東京国際映画祭の公式プログラムとして、10月31日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて「ウーマン・イン・モーション」のトークイベントが開催。登壇者は女優の寺島しのぶさん、映画監督で写真家の蜷川実花さん、アーティストのスプツニ子!さんの3人。さらに映画ジャーナリストの立田敦子さんが司会進行役を務め、映画界における女性の活躍について、さまざまな意見が交わされた。

#metoo運動を筆頭に、世界の女性の俳優、監督たちが声を上げはじめている昨今。日本の状況は実際のところ、どうなっているのだろうか。

 このテーマに対し、蜷川さんは「33歳で最初の映画『さくらん』を撮ったとき、女流監督など、やたらと女流という言葉がついてまわって、イラッとしました」と当時の心境を吐露。「ただ今年は2本公開したのに、女流とは言われなかったですね。状況が緩やかに変わってきているのかも」とも。

 歌舞伎界という特殊な世界に生まれ育った寺島さんは「個人的には男性の多い現場は好き。子どものころから慣れているし、私は中身が男だから(笑)」と笑いを誘いつつ、女性が圧倒的な主役を務める映画が少ないという現実を指摘。

「特に日本には若くて可愛い女の子がモテはやされる文化が根付いていて、大人の女性の話が映画として成立しにくい。私も出産したらお母さんの役が増えて『これが現状なんだな』と感じました」と自身の体験談をまじえて語った。

 今年、第72回カンヌ国際映画祭で「ウーマン・イン・モーション」に出席したスプツニ子!さんは、映画界以外でも、ソーシャルメディアを通じて女性が声を上げられる雰囲気が出てきているというポジティブな面を挙げる一方、やはり映画界の女性人口比率の低さに言及。

「世界の人口の半分は女性であって、女性がつくる映画は、女性の視点から見た世界が描かれているだけの話。それをことさらに女性的だとか、ニッチだとか、カテゴライズするほうがおかしい」と持論を述べた。

 その後は、ただでさえハードな映画製作の仕事と子育てを両立させることの難しさに話が発展。

「昔はインスピレーションが湧いてくるのをじっくり待つ余裕があったけど、子どもが生まれてからは限られた時間でとにかく作るしかない」(蜷川さん)

「わかる! 産後はおっぱいを作るのがクリエイションだし」(寺島さん)

「あとちょっとで何かつかめそう…ってときに、横から『アンパンマーン!』って突撃してきたり」(蜷川さん)

 そう子育て組が明かすと、現在34歳のスプツニ子!さんは、なかなか妊娠、出産という選択に踏み切れない心境を告白。

「女性は、仕事がいちばん楽しいときと、妊娠出産に適した時期が丸かぶりするのがキツい。だから私、卵子を凍結したんです! 周りのみんなにも卵子凍結をPRしてます」(スプツニ子!さん)

 最後は各自、日本において女性がもっと活躍していくためにこれから必要なこと、自分自身が取り組んでいきたいことについてコメントし、締めくくった。

「長い道のりになるとは思いますが、おバカキャラの女性ばかりがウケた時代と違い、今はさまざまなキャラクターの女性がインフルエンサーとして活躍していて、いい方向に変化してきていると思います。女性たちが勇気をもつこと、男性たちが変わることが大事」(スプツニ子!さん)

「大人の女性は楽しいよ!ということをアピールしていきたい。女性がやっちゃいけないことなんてなくて、好きな服を着ていいし、誰と恋愛したっていい。そういう物語を紡ぎ続けていきたいですね。私の作品を観たあとに映画館を出た女性たちが、肩で風を切って歩いていく、そんな感じになってもらえたら」(蜷川さん)

「ジェンダー論が流行っていますが、どんな人間にもそれぞれ個性はあってしかるべきもの。性別関係なく、自分で自分を主張する力をそれぞれが身につけることが大切。恥ずかしいと思わずに発信する我(が)をもっていれば、状況は変わっていくはず。私は女優としては、多面性のある役をフルに演じていきたいと思っています」(寺島さん)

Text:Kaori Shimura